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2017.05.30
改善コンサルタントの一週間スケジュールとは これまでずっと改善のことについて書いてきましたが、ちょっと趣向を変えて、今回は私の仕事のことを書きます。
私は自分の職業は改善コンサルタントだと言っています。時々講演会をしたり大学で講義をしたりしますが、ほとんどの日は日本のどこかの工場の現場で改善指導をしています。
全く同じではありませんが、指導会は大体午前9時か9時半くらいに始まりますので、その少し前に会社に伺って、その会社の作業服に着替えます。
最初に会議室で私がメンバーの皆さんにミニレクチャーを行います。次に先回の宿題の結果の報告を受け、質疑応答をしてからみんなで現場に行きます。ここでいうみんなにはもちろん社長も含まれます。
現場では改善を実行した方に直接話を聞いたり、その時々の課題をその場所に行ってみんなで具体的な議論をして改善実行方法を決めていきます。もしその場でできることがあったらそこにいるみんなで実行してしまいます。そこで実行できない課題は宿題に残します。
さて、現場でどういうことを話しているかですが、現場には全社的な問題がたくさん隠れて存在しているのです。例えば品質問題の改善を話しているとそこから設計の問題や材料の問題、あるいは品質管理の問題が浮かび上がってきます。それらは製造部門だけでは解決しきれない問題であることが多いのですが、その場には社長も工場長も設計や技術の人もいますから、その場で有効な対策を打つことができるのです。これまでお話ししてきたKZ法のようにカードを貼らなくても同じような全体最適の議論をして、全社的な問題解決をしています。
そして現場でのチェックや議論を終えたところで会議室に戻ってその日の振り返りや宿題の確認をして次回改善会の日程を決めて終了します。これが大体午後4時です。
それから次の日の仕事場への移動をします。毎日違う工場に行くのですが、必ずしも距離的に最適な順番に移動できません。私の都合で日程を調整すると、工場の方々は組織的な調整になりますから大変です。そこで私は調整をしないことに決めています。ムダはすべて一か所化すると見やすいなどと言っているので移動のムダはすべて私に集約です。
その結果、今週は東京→佐世保→神戸→仙台→岐阜羽島→東京という移動になりました。電車の中では本を読んだり文章を書いたり、考え事をしたり、お菓子を食べたり、漫画を読んだりしています。
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2017.05.25
中国の改善スピードには見習うべき点が多かった。 先回、上海に一年ぶりに行ってその変化の速さとレベルに驚かされたとお話ししました。
実はその一週間後、再び中国からの驚きの出来事がありました。
5年前に私が日本経営合理化協会出版局から出した『儲かるメーカー改善の急所101項』という本があるのですが、それの中国版が完成して送られてきたのです。もちろん先方の東方出版社とは契約をしていたのですから驚く必要はないのですが、ずいぶん前のことであったので忘れてしまっていました。私が勝手に驚いたということです^ ^;
私の本が中国で出版されている。中国はライバルである日本の知識をどん欲に吸収し、それを独自に進化させている。その姿勢は見習いたいものです。
いや、見習わなければ完全に追い越され、そして置いて行かれるでしょう。
私も気合を入れ直します。一緒に日本の改善パワーを世界に見せつけましょう!
あ、せっかくなので少々宣伝を(笑)
この本は作業改善から経営改善までを順番に101項目にわたって短い言葉で解説したもので、製造業に従事するすべての方が自分の仕事レベルを上げることと、改善を通じて会社を良くして自分の人生を豊かにするための全体最適の情報共有を図ることを目的にして書きました。いつでも使えるように作業服のポケットに入るサイズにして、丈夫な表紙と紙でできている実用書です。
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日本経営合理化協会より絶賛発売中です。どうぞご宜しくお願いします^^
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2017.05.20
上海の改善スピードはとてつもなく早かった! 上海交通大学で講義をすることになり先週末は上海におりました。
上海には約一年前に行っています。これまでも中国の変化の速さには驚かされているのですが、今回もたくさんの変化を見てたいへん驚いて帰ってきました。
一つは道を走っている自転車がとても増えていたこと。それも数種類の同じ色・同じ形の自転車です。案内の方に聞くとレンタル自転車であり、この半年で急に普及したとのことです。日本にもレンタル自転車はありますが、私の知っている日本のレンタル自転車は決まった場所に置いてあって借りる場所と返す場所は決まっています。そして観光地にある場合はけっこう高額です。
上海のレンタル自転車は場所の制約は全く無し。アプリを開くと写真1のように自転車が置いてある(乗り捨てられている?)場所が示されます。そこでスマホ画面で自転車を借りたい場所をタッチして申し込むと、レンタルされる自転車の番号が示されます。マップに従ってそこに行ってみると写真2のように自転車が並んでいたり、あるいは全くなんでもないところにポツンと乗り捨てられていたりします。そして写真3にあるようにその番号の自転車を見つけてQRコードをスマホで読むと鍵が開くという仕掛けです。
写真1
写真2
写真3
レンタルを終えるには自転車の鍵をかければそれだけでいいそうです。値段は何と30分で2人民元、約33円です。スマホから自動でお金が引き落とされます。
もう一つの驚きは電子マネーの普及です。私は二日間のみの滞在だったので案内の方にすべてお世話になってしまったのですが、タクシー、食事(小さな定食屋で昼色、豪華なレストランで夕食、喫茶店でコーヒー)、買い物(コンビニでジュース)、ホテルの支払いなどすべてスマホ決済でした。その方以外にコンビニで買い物をしているお客の支払いを眺めていたのですが、老若男女だれも現金やカードを使っていませんでした。みんな「Alipay」、「Wechat pay」あるいは「Apple pay」だそうです。
これまで中国には「ずいぶん追いつかれてきたなあ」と思うことが多かったのですが、今回は「ずいぶん先を行かれちゃったなあ」と思ったのです。できない理由を言わない、やる方法を考えることを改めて自分に言い聞かせました。
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2017.05.14
改善で変化のスピードを全社的に上げる KZ法(最終回) これまでざっとではありますが、KZ法の進め方やその経営上での効果についてご説明してきました。今回でKZ法の説明はおしまいです。
KZ法の一番の本質は関係者が現場現物を前に集まり、問題を発見し明確にし、トップが改善を促す「知のすり合わせ」の方法です。それを使って組織のなかにある壁を取り去り全社最適に向けて大局観を共有するのです。
会社は普通みんなで手分けをして仕事をします。営業が注文を取り、設計が設計し、調達が仕入れ、技術がラインを用意して管理の指示で製造が作り、できた商品を出荷して代金回収するという流れです。会社の仕事を一人ですべてやることはとてもできないし、できても間に合いません。
つまり、日常の仕事においてはこれが一番いいやり方です。そしてそれぞれの担当者は同じ仕事を繰り返しやっていますから習熟しておりプロフェッショナルです。しかしその人たちは自分の仕事についてはプロですが、その他の人たちの仕事についてはほとんど知らない、極めて偏ったプロであることが多いのです。ですから会社を大きく変える必要が出たときにみんなが集まっても、自分のことしか知らない人たちばかりだと全体の議論が全くできないということになりかねません。
ではどうするか?! その答えがKZ法なのです。どんな小さなモノであってもそれには営業、設計、調達、技術、製造、管理をはじめとするすべての部門の人がかかわっています。そしてその人たちが現場にある問題のある現物を前にそれぞれの人のかかわりや問題を語り合うことを通じて全員でそのモノの流れを共有化することができます。そして全員でワイワイガヤガヤの議論をすると全体を意識した全社最適の議論ができ改善案が出るのです。
そして気が付くと組織の間にあった大きな壁が取り去られ一緒にチエ出しが始まります。
KZ法についてのご説明は今回が最終回です。次回から「チョコ案」についてお話を始めます。
KZ法については本が出ています。ご参考になさって下されば幸いです。
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2017.05.05
改善で社内のモチベーションと変化スピードを上げる KZ法(11) これまでざっとではありますが、KZ法の進め方やその経営上での効果についてご説明してきました。在庫が減るとか場所が空くといった目に見える改善が全体最適で行われるということですが、目に見えない改善も行われるのです。
それはモチベーションの向上です。
上の図は、KZ法をみんなでやっている時に交わされた会話を私が聞き取ってまとめたものです。KZ法をやる時はむっつりした顔で黙々とやる…ではなく、大きな声でワイワイとおしゃべりしながらやりましょうね!といっていますからいろいろな声が聞こえてくるのです。
ご覧になって分かると思うのですが、皆さんいろいろな形で驚かれるのです。そしてその驚きはそこにいるみんなと一緒に次の行動に結び付くような驚きです。
文字になった言葉だけでは分かりにくいとは思いますが、流れに沿って読んでみてください。楽しそうでしょう。KZ法は本当に楽しいのです。その結果みんなのモチベーションが上がって次のステップの全体最適の改善へとつながるというのもお分かりいただけると思います。