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2017.10.26
(号外5)中国進出!? このたび、私が15年前に御沓佳美氏と共同執筆した『最強のモノづくり』が中国語に翻訳されて現地で出版されました。
日本語で出版した当時はまだ流れという言葉もあまり聞かれなかったのですが、流れを6つのレベルに分けてそのレベルアップを事例と方法とで示しました。改めて今の時代に活用していただきたい内容です。
当時はまだ先の話と思われた最高レベルのレベル6が、3Dプリンターなどいろいろな面で技術が進歩した現在では夢ではなくなっています。
ご興味のある方はぜひ手に取ってご覧ください。
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2017.10.25
これからの変化の時代に向けてのカイゼン[15] いつもは『儲かるメーカー改善の急所101項』を使って今の時代に必要な改善のお話をしていますが、今回はちょっと趣向を変えて改善に必要な元気についてです。
私たちが実行している「改善」ですが、これを英語で何というかご存知ですか?
答えは “KAIZEN” です。一体いつからそうなっているのでしょうか? 私は約30年前に改善研究所所長の今井正明先生が “KAIZEN The Key to Japan’s Competitive Success” という本をアメリカのマグロウヒル出版社から英語で出されたことがきっかけだと思います。この本が日本には “KAIZEN” という日本独特の活動があってそれが日本の会社の経営を支えていることを世界に紹介しました。それで “KAIZEN” という言葉が定着したということです。
今井先生はこれまで2冊の大きな本を書かれていますが、次の3冊目はモノづくり経営の本を書くとおっしゃって現在国内の優秀事例を集めておられます。その一環で先日私の指導先のP社にいらっしゃいました。
指導日の前日夜に私は今井先生と東京で待ち合わせて埼玉県P社の最寄り駅に電車でご一緒に移動しました。電車は混んでいて私たちは並んでつり革につかまって立っておりましたが、しばらくして前に座っていた一人の男性が下車されて空席ができました。すると今井先生は間髪入れず「柿内さん、どうぞ座ってください!」と大きな声でおっしゃったのです。私は昭和26年生まれの66歳で、席を譲られてもおかしくない年齢ではありますが、今井先生は更に年上で昭和5年生まれの87歳です。もちろん私が席を譲ったのですが、この元気はすごいと思いました。
翌日の私の指導会の時も、現場で先生はずっと立ちっぱなしでしたが全く疲れた様子もなく大きな声で鋭い質問を投げかけられました。
ここでの気付きですが、改善活動にはいろいろなことが必要ですが、まず元気であることが大切だと思いました。今井先生はいつも大きな声でニコニコしてお話しをされます。そしてまたすぐにヨーロッパに講演会に出発とおっしゃっていましたからもうすでに日本にはいらっしゃらないのでしょう。元気の秘訣は?と尋ねたところ、「まだまだ 改善しなければいけないことがたくさんあるので元気でないわけにはいかないんだよ!」とのお言葉…。
今井先生を見習って、お互い元気で頑張りましょう!
今井先生(右)と
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2017.10.23
これからの変化の時代に向けてのカイゼン[14] 今回は『儲かるメーカー 改善の急所101項』【急所65】の解説です。
【急所65】 設計改善は、現場改善に100倍勝る。(1)
先日、アメリカ人の技術者と雑談していた時に、彼から「日本は現場改善のレベルはものすごく高いが、その反面で設計のレベルが不十分な時がある」という言葉が出てきました。
確かに少しくらい設計に甘いところがあってもそれをカバーして良い商品を作ってしまう実力が日本の生産現場にはあるので、そこに甘えが生じている可能性はあると思います。海外だと設計が不十分だと絶対にモノはできないとのことです。
設計レベルは低いが現場改善でカバーして良いモノができるというのは決して悪いことではないのですが、設計レベルが高いうえに現場改善で更に良いものができる方がいいに決まっています。設計レベルが向上したらその瞬間から生産現場が楽になりコストが下がり品質が上がるのですから設計レベルの向上は重要です。
私も設計に問題があるので、ものすごく苦労している現場を知っています。聞いてみると設計変更依頼は以前から出し続けているけれど、なかなか対応してもらえないとのことです。
確かに設計をしている人たちはどこでも大忙しです。しかし設計がすべての源です。設計が悪くてそれを現場が苦労して作り上げるというのは大きなムダです。
どうすればこの問題を解決できるでしょうか? 私はここでもみんなの助け合いが答えだと思います。お互いが頑張っていることを認め合ったうえで、全体最適の答えを絞り出す方法です。
そのやり方ですが、問題のある生産の現場にワイトボードを用意します。そしてそこに生産をしている人、設計をしている人、生産技術の人といった関係者が集まります。リラックスして話し合いたいのでお茶も準備します。
そしてまず生産現場の人たちが、現在どのようにその製品の生産で苦労しているかと、これまで積み上げてきた改善内容を説明します。ここまで改善で頑張っているけど最後の一歩のところを設計変更でサポートしてほしいといったアピールです。
設計の人はいつも忙しくて現場に来ることがないのでその苦労話を初めて聞いて驚きます。そこからみんなでワイワイガヤガヤの議論がホワイトボードを使って始まると、ほとんどの場合有効な答えが得られます。皆さんの職場ではどんなことができるか、ぜひ考えてみて下さい。
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2017.10.16
これからの変化の時代に向けてのカイゼン[13] 今回は『儲かるメーカー 改善の急所101項』【急所51】の解説です。
【急所51】 クレームは、人海戦術では解決しない。
ここ最近、残念なことですが、大きな品質トラブルのニュースを連続して新聞・テレビで目にします。それぞれの事件にはいろいろな理由があるのでしょうが、他人ごとではありません。現在、私たちが置かれた状況は、好況であり人手不足なのです。現場がめちゃくちゃ忙しい会社が増えています。いつ問題が起きてもおかしくない状況といっていいでしょう。
私は長く製造業に身を置きたくさんの企業を見てきました。「品質第一」という言葉が浸透していたはずの職場でも、いざ本当に忙しくなると納期優先になってしまうことが起きるのです。
生産が遅れてしまい出荷のトラックを待たせていたが、これ以上は待たせられないのでその時だけ検査をすっ飛ばした。いつもは全く問題がないラインであったのだが、その時に限って不良が発生していて市場に流出てしまい大クレームになった、といった事件を数多く見てきました。みんな目の前の出荷に一生懸命な結果です。意図的に「品質第一」を無視したのではありません。しかし結果的に無視したのですから会社にも社会にも大きな損害が発生します。
クレームは火事と同じで、起きたらまず消火が第一です。お客様にお詫びをして代替えの商品を届けたり緊急の修理をしたりと人海戦術で一刻も早い対応が求められます。
しかしその後がもっと大切です。二度と間違いを起こさないように原因をきちんと分析し根本対策を打つことです。全社一丸となって全員で問題を洗い出すことです。設計に問題があるなら設計を変える、仕組みに問題があったら仕組みを変える、教育訓練は改めて全員がやり直す、といったように。
クレーム処理を事件を起こした担当者の不注意を原因とし厳重注意をして幕引きとする会社が多くあるのですがが、原因を人に求めることは再発防止になっていないということを意味します。そのままでは再発します。仕組みの欠陥にまで踏み込んだ改善が必要です。
実は今回この文章を【号外】として書こうかとも考えました。ただ最近の事件がすべての業種において起きているとも言えないので一般の文章で書きました。しかし現状が厳しいことは明らかなので、すべての皆様が現場チェックをしてくださることを望みます。よろしくお願いします。
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2017.10.09
これからの変化の時代に向けてのカイゼン[12] 今回は『儲かるメーカー 改善の急所101項』【急所44】の解説です。
【急所44】 仕事は教え方まで含めて「仕組み化」せよ。
今、この文章を読んでいる方は、全員が例外なく仕事を人から教わった経験をお持ちだと思います。
しかし、「仕事の教え方」を教わったことがありますか?というとほとんどの方が教わったことがないのではないかとも思います。いかがでしょうか?
私は仕事で「仕事の教え方」を教える必要があるのですが、その場合は海軍軍人であった山本五十六元帥の言葉を暗記して使っています。
『やって見せて、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ』
教えるべきしっかりした標準があることは前提として、まず先生がその仕事を声を出して説明しながらやってみます。そして次に生徒にやってみてもらいます。その時に生徒にも頭の中に残っている言葉を声を出していってもらいながらやってもらうと更にいいと思います。そして最後にできたらしっかりとほめてあげます。この教え方をしっかりと練習すると生徒の習熟のレベルがものすごく高まります。
日本にはこのやり方でものすごく成果を上げている学校があります。ご存知ですか?
自動車教習所です。自動車の運転は誰もがやっている仕事の中で最も難しい仕事ではないかと思います。しかしそれを40時間くらいの教習で国家資格が取れるまでに習熟できるのは抜けのない教科書とこの教え方のお蔭だと思います。
皆さんの会社では誰がどういうやり方で新人作業者に仕事が教えられているでしょうか?チェックしてみて下さい。そしてこの機会に教え方のレベルを上げて、早く、そして深く仕事ができるようになるようにしてください。
『儲かるメーカー 改善の急所101項』
https://goo.gl/2XfcQZ