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2020.04.01
【第123回】コンサルタントの改善日記 2007年5月19日の日経新聞の切り抜きです。ずいぶん古い情報ですが、私はこの記事に強いインパクトを受けたことを昨日のことのように覚えています。当時、生産の現場での立ち作業は当たり前になっていましたが、事務所での立ち作業は見たことがなかったからです。当時でも、立ち作業と座り作業における疲労の研究などはされていて、東京~新大阪間の新幹線でずっと座っている乗客と、コーヒーなどを歩いて売っている販売員の疲労状況を医学的な方法で計測したところ、座っている乗客の方が疲れていたというレポートなども読んでいたので気になっていたのですが、だからといって私は積極的に事務作業において立ち机を勧めることはしませんでした。
しかしこの頃私の指導先でも、事務仕事に立ち作業を導入する例が増えています。この写真は(株)いそのボデーで設計を担当しているKさんです。
この写真は(株)基陽で物流を担当しているMさんです。
もちろん、座る椅子は準備してありますが、普段の仕事はこの方が機動的でかつ楽だそうです。
最近は座ることがいかに身体に悪いか…といったセンセーショナルな記事もあるようです。事務部門の生産性向上というと、RPAのようなIT技術が中心になりがちですが、このような仕事の環境にも目を向けてみることも大切に思います。私も研究を開始します。
(株)いそのボデー: https://www.isono-body.co.jp/
(株)基陽: https://www.kh-kiyo.com/
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2020.01.27
(号外12) 『カイゼン4.0』が出版されます。 来る1月27日にワニプラスから私の著書で『カイゼン4.0-スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす』が発売されます。
日本の製造業はカイゼン技術を駆使して世界のモノづくりを引っ張っていた時期がありました。ところが現在の日本の製造業には以前のような輝きがありません。カイゼンもいろいろな理由で実行できていない会社が増えています。あるいは、実行していたとしても、正しく行われていないので経営成果に結びついていないことも多いのが実情です。
しかしカイゼンという日本発の技術は、お金がかからないシンプルな技術であり、正しく運用すると生産性や品質はもちろんのこと、新商品や新マーケットをも生み出してしまうすごい不思議な技術なのです。そしてこれは日本にしかできない特別な技術です。ですから正しいカイゼンができていない会社が多い今の日本の中小製造業の状況は、とてももったいないと思っています。
私はカイゼン指導が専門のコンサルタントです。そして私の指導先ではそのすごいことが普通に起きています。そこで私の指導先のカイゼン事例をベースに、経営者の役割や、カイゼンの進め方を解説した本を書こうと決めてこのたびようやく完成しました。
この本を参考にして頂き、日本の製造業、特に中小の製造業が元気になって再び世界のモノづくりを引っ張るようになっていただきたいと思います。
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2019.08.22
コンサルタントの改善日記 10 私の改善会ではしばしばKZ法という全体最適の活動を実行します。Kは改善、Zは全体のイニシャルです。
つい先日は、チェーンソーのガイドバーやヘッジトリマーを作っている兵庫県三木市の末廣精工(株)の改善会で、社長を筆頭に会社の全部門の皆さんが参加してプレス職場にてKZ法を実行しました。
プレス職場の方はもちろん、他の工程の管理職の方や営業や設計、技術の方々が社長と一緒にモノを前にしてみんなでワイワイガヤガヤをして、隠れている会社の本質的な問題を洗いだします。
超暑い中、みんなで1ヶ月以内に使わないモノや問題のあるモノにカードを貼り、それを「不要」、「不急」、「必要だけど問題あり」の3つに分類しました。金型の廃却判断や大型のモノの移動などひとりでは、あるいは自部署の人だけでは絶対に分からないしできないことがわずか2時間で次々と解決されていきました。全体最適とはこのことか!という感じでした。
毎日の仕事は営業、設計、製造のように手分けをしてするのがいいのですが、大きな改善は手分けしてはできません、みんなで一気にやるのが正解です。そしてこの過程で一人では、あるいは一部所では絶対に思いつかない全体最適のアイデアが生まれます。
KZ法をやってみたい方はお問い合わせください。
柿内幸夫著『KZ法 工場改善』
書影をクリックするとアマゾンに行きます。
写真1:みんなでワイガヤ、これ何だろ?
写真2:金型議論、これはもういらんな!
写真3:津村社長も運搬、汗だく。
写真4:私もたくさん運んだので汗だく。末廣精工株式会社HP: http://www.suehiroseiko.jp/
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2018.10.19
コンサルタントの改善日記 5 コンサルタントは自分の都合で仕事を進めることができません。お客様(指導先)との日程調整をしたら、必ずその日に会社に行かないと多くの方々にご迷惑をおかけしてしまいます。そこで何としても体調を常に良好に保つ必要があります。
以前に私が健康オタクであると申し上げましたが、オタクアイテムの中で最も昔から実行している健康アイテムは「呼吸法」です。
世の中にはいろいろな呼吸法がありますが、私が実践する呼吸法はひたすら静かにゆっくり息を吐いて、そしてひたすら静かにゆっくり息を吸うというシンプルなものです。今日の仕事が終わって、明日の仕事場へ移動する新幹線に乗って、お茶とお菓子で落ち着いた後(第94話)に始めます。だいたい10分間で15往復。隣の人に変な人だなあと思われないようにひたすら静かにゆっくり行います。私にとっての必須アイテムです。
参考文献:『氣の呼吸法」藤平光一著 幻冬舎
http://amzn.asia/d/fjuVEDH -
2018.08.03
寄稿しました 日本インダストリアル・エンジニアリング協会発行の
IEレビューに「現場・工場から元気をもらおう!」という内容で寄稿しました。
ご興味の有る方は一読ください。日本インダストリアル・エンジニアリング協会ウェブサイトはこちら
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2017.10.26
(号外5)中国進出!? このたび、私が15年前に御沓佳美氏と共同執筆した『最強のモノづくり』が中国語に翻訳されて現地で出版されました。
日本語で出版した当時はまだ流れという言葉もあまり聞かれなかったのですが、流れを6つのレベルに分けてそのレベルアップを事例と方法とで示しました。改めて今の時代に活用していただきたい内容です。
当時はまだ先の話と思われた最高レベルのレベル6が、3Dプリンターなどいろいろな面で技術が進歩した現在では夢ではなくなっています。
ご興味のある方はぜひ手に取ってご覧ください。
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2017.10.25
これからの変化の時代に向けてのカイゼン[15] いつもは『儲かるメーカー改善の急所101項』を使って今の時代に必要な改善のお話をしていますが、今回はちょっと趣向を変えて改善に必要な元気についてです。
私たちが実行している「改善」ですが、これを英語で何というかご存知ですか?
答えは “KAIZEN” です。一体いつからそうなっているのでしょうか? 私は約30年前に改善研究所所長の今井正明先生が “KAIZEN The Key to Japan’s Competitive Success” という本をアメリカのマグロウヒル出版社から英語で出されたことがきっかけだと思います。この本が日本には “KAIZEN” という日本独特の活動があってそれが日本の会社の経営を支えていることを世界に紹介しました。それで “KAIZEN” という言葉が定着したということです。
今井先生はこれまで2冊の大きな本を書かれていますが、次の3冊目はモノづくり経営の本を書くとおっしゃって現在国内の優秀事例を集めておられます。その一環で先日私の指導先のP社にいらっしゃいました。
指導日の前日夜に私は今井先生と東京で待ち合わせて埼玉県P社の最寄り駅に電車でご一緒に移動しました。電車は混んでいて私たちは並んでつり革につかまって立っておりましたが、しばらくして前に座っていた一人の男性が下車されて空席ができました。すると今井先生は間髪入れず「柿内さん、どうぞ座ってください!」と大きな声でおっしゃったのです。私は昭和26年生まれの66歳で、席を譲られてもおかしくない年齢ではありますが、今井先生は更に年上で昭和5年生まれの87歳です。もちろん私が席を譲ったのですが、この元気はすごいと思いました。
翌日の私の指導会の時も、現場で先生はずっと立ちっぱなしでしたが全く疲れた様子もなく大きな声で鋭い質問を投げかけられました。
ここでの気付きですが、改善活動にはいろいろなことが必要ですが、まず元気であることが大切だと思いました。今井先生はいつも大きな声でニコニコしてお話しをされます。そしてまたすぐにヨーロッパに講演会に出発とおっしゃっていましたからもうすでに日本にはいらっしゃらないのでしょう。元気の秘訣は?と尋ねたところ、「まだまだ 改善しなければいけないことがたくさんあるので元気でないわけにはいかないんだよ!」とのお言葉…。
今井先生を見習って、お互い元気で頑張りましょう!
今井先生(右)と
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2017.07.13
これからの変化の時代に向けてのカイゼン[2] 今回も『儲かるメーカー 改善の急所101項』を使ってお話しいたします。
【急所1】工場でのあらゆる活動は、お客様からのご要望に応えるために行っている。
工場ではたくさんの部品や製品が作られています。そして性能の向上や品質の向上、また生産性の向上など様々な取り組みが行われています。どれも非常に重要なことですが、絶対に忘れてはならないことが一つあります。
それは「工場でのあらゆる活動は、お客様からのご要望に応えるために行っている」ということです。
ここで大切なことはその「お客様」とは誰のことかです。例えば、できた製品が親会社に納められる、あるいは問屋さんに納められるとした場合、お客様は親会社であったり問屋さんであったりと思われるでしょう。
しかしそれだけではなくて、親会社でその部品を使っている人やその部品を検査し供給するその部品を直接に使っている人もお客様なのではないかと思います。あるいは問屋さんから買ってその商品を実際に使っている人が本当のお客様なのではないでしょうか?
その方たちが本当に喜んでくれているか? どんなことを望んでいるか?というようなことをいつも聞いて回ったり考えたりして、もっといいものを作る努力をするのです。
これらのことは決して簡単なことではありません。しかしこれから始まる大きな変化に対応する大切な視点だと考えます。
『儲かるメーカー 改善の急所101項』
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2017.07.09