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2016.10.21
今、改善が必要な理由1 東京オリンピックまであと4年を切りました。これからオリンピックの開催に向かって日本ではいろいろな準備が行われます。すなわち東京中心ではありますが、短期間に大きなお金が投入され日本中にお金が回るのでその間、日本の景気は維持されると思います。
しかし、その間に日本の人口は今より更に減少しているので、オリンピックとパラリンピックの終了後、突然にマーケットの縮小や労働人口の減少の影響が顕在化すると予想しています。
ですから景気が維持されるこの4年の間に、改善を実行してモノの作り方や設計の仕方、在庫の持ち方、商品の売り方などすべてを劇的に変えていく必要があります。明日雨が降ると分かっていたら傘を用意するのと同じノリで4年後に大きな変化が起きると分かっていたら今のうちにその準備をするということです。
ところが私の身の回りにある工場ではすでに忙しくなっていて、改善する時間がない!という(嬉しい?)悲鳴を上げているところも多いのです。しかしコンサルタントの私になぜ改善ができないかを説明しても何の意味もありません。4年後は必ず来るのですから。
できない理由をいうのはやめましょう。やる方法を考えましょう
具体的な方法は次回より。
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2016.10.16
これからの技能と技術 3 これまで2回にわたり私が現場指導の中で見つけた技術と技能の話をして来ました。今回はそこで気が付いたこれからどう技術と技能を進歩向上させていくといいかをお話しします。
最近の本屋さんの書棚には、「あと何年でなくなる仕事云々…」「ロボットの脅威云々…」といったタイトルの本が並ぶようになりました。
コンピューター技術が進歩して、囲碁の世界チャンピオンがコンピューターに負けるといったこれまでは考えられなかったことが起きたため、この仕事とあの仕事はロボット化されて人は仕事を奪われるといった、どちらかというと心配事のようなニュアンスです。
私も時々「これからどうなると思いますか?」と聞かれますが、最近はかなりはっきりした答えができるようになりました。10月5日に書いた第9話のS工場長のように、コンピューターに使われるのではなく使い倒す立場に立つことです。コンピューターの活用で私たちは更に進歩向上できるのであり、心配することではないということです。
ではそうするためにはどうすればいいか? ですが…、最近の私たちは身の回りの状況に慣れてしまってあまり改善のニーズを感じなくなっていないでしょうか? もしそうならそれが大きな問題です。私たちの周りはまだまだ不十分なことだらけです。
例えば、品質は完璧からは程遠いし、歩留まりは相変わらず悪くて廃棄物を生み出しています。人口が減っていく中で高齢者の活躍が必要なのにもかかわらず、高齢者が簡単に扱えるコンピューターや設備はありません。現状に満足せず、改善すべきところを見つけてそれらを本気で変えようと思えば、やるべきことはびっくりするほどあるのです。
身の回りにある変えるべきところをすべて変えてみませんか! そうするとそのための技術が必要になってくるのですが、その時に進歩したコンピューターが便利な道具として私たちを支えてくれると思います。
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2016.10.07
これからの技能と技術2 先回に引き続き、私が現場指導の中で見つけた技術と技能の話をします。
最近、私は家電販売店などに行くと必ず売られているウェアラブルカメラを使った動作改善をよくやります。インターネットに「ウェアラブルカメラ」と入れれば実にたくさんの商品が出てきます。重さは数十グラムと非常に軽いビデオカメラです。
例えばこれを組み立て作業者の方の頭につけてもらい作業者目線での手の動きを撮影するのです。その時についでに声を出して作業の説明をしながらやっていただくと音声の入ったビデオも作れます。
これまでのビデオ撮影だと、後ろから取ると手元がよく映らないし声はよく聞こえない。手元を映そうとカメラを手の前に持っていくので邪魔になるといったことがありました。また撮影する人がいると物々しくなります。
そういう意味でこのウェアラブルカメラを使うと非常に気楽にそして素晴らしい映像が撮れます。
そしてそれをタブレットのような少し大きい画面を使ってその場でみんなでワイワイガヤガヤおしゃべりしながら見るといろいろな人の意見から素晴らしい改善案が出てきます。
ウェアラブルカメラは最近の技術商品です。昔では考えられないクリアーで見やすい映像が簡単に撮影できます。
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2016.10.05
これからの技能と技術 その昔は電子計算機と呼ばれ「高速ソロバン」であったコンピューターですが、この頃は進化して人工知能(A.I.)レベルになって、人間の仕事を奪うかもしれない…といった議論も出ています。
私も次々と新しい情報が入る中でこれから一体どうなっていくのだろうと期待したり心配したりを繰り返しておりました。
その中で、先日私の指導先のB社でそのことに関する素晴らしい改善に出会いました。
B社ではプレス金型を作っているのですが、最近はプレスされる金属の性能がより軽くより強くなっており、スプリングバックというのですが、せっかく曲げてもまたもとに戻ってしまいやすくなっているのです。その結果、金型設計も複雑で難しくなっています。
そこでB社ではスプリングバックなどの複雑な変化をシミュレーションできるソフトを購入しました。ここまでは特別なことではないのですが、B社ではコンピューターは苦手といっていた60歳のS工場長が、若い人に教わりながら勉強してこのソフトを使えるようになったのです。
ものすごい経験と技能を持っているS工場長がものすごい技術のソフトを使いこなせるようになると何が起きるのか? S工場長に聞いてみました。すると、
「いやー、このソフトはすごいね、今まで何度も行ったり来たりしていた作業が一発だよ!おかげで生産能力は上がるし若手とのコミュニケーションは進むし、、、秘密だけど今度●●●●にチャレンジするんだ、こんなこと普通考えられないだろ!」
技能を自動化するのではなく、自動化を使って技能をさらに上げるということです。コンピューターはやはり使うものであって使われるものではないと考えるのだと改めて思いました。