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2018.03.30
日本の製造業が本来持っている強味 1 これまでは「世の中の変化と日本の製造業が抱えている問題点」という観点で私の考えをお伝えしてきましたが、今回からはそれに対して活用するべき日本の強味についてお話を続けます。
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私は改善コンサルタントとして、これまで多くのモノづくりの現場で改善指導をしてきました。そこでどんなことが起きているかをご紹介したい。私の肩書は「改善コンサルタント」であるから、当然社長は現場改善での作業能率や品質の向上を期待して私を使い始める。面白いことに、そうすると結果的には能率や品質はだけでなく、商品開発や営業収益の向上が起きてしまうことがしばしばある。私は開発や営業の経験も知識もないので、私の指導で売り上げが上がったのではない。しかし上がってしまうのだ。
では一体何が起きてそうなるのかをご説明します。
私は作業服を着て現場に出て改善指導をします。その場には必ず社長や開発や設計、そして営業の責任者にもいてもらいます。そして全員で一緒に改善を行う。このことにより現場に隠れている全社的な問題点を発見し、全体最適レベルで解決してしまうのです。全員で全体を同時に見る!それが、私が関与していない部分も全体的に盛り上がる理由です。
Question:皆さんの会社でみんなで現場でワイワイやっているうちに、とんでもないアイデアが生まれてそれが会社に大きく貢献したという経験はありませんか。
追伸 このたび、経済産業省より「先進技術マイスター」(平成29年度)という称号をいただきました。ちょっと嬉しいです。
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2018.03.26
第6回日本カイゼンプロジェクトのご報告 その2 今回は、第6回日本カイゼンプロジェクトの後半に行われたデンマーク生まれの玩具であるレゴ®ブロックを使った問題解決技法(レゴ®シリアスプレイ®)実習のご報告をいたします。
講師の㈱ロバート・ラスムセン・アンド・アソシエイツ社長の蓮沼孝先生は、レゴ社の教育部門の開発責任者でありこの技法の開発者であったロバート・ラスムセン氏から直伝でこの技法を学んだ方で、実際には数日かかるコースもあるのですが、今回は特別にそのエッセンスを私たちにいくつかの実習を通じて教えてくださいました。
レゴを使った講義は大人の参加者である私たちにはすべて新しく珍しく楽しいものでした。5~6人のグループ編成で、蓮沼先生の指示に従って全員がそれぞれに与えられた10ピースくらいのレゴ®ブロックを組み立てます。そしてそれを使っていろいろな議論を交わし表現をする過程で、私たちの中に潜んでいた創造性や表現能力が驚くほど発現したのです。
レゴ®シリアスプレイ®が組織改革、キャリア開発、チームビルディング、コミュニケーション能力向上の‟考具″として使われているということが納得できた2時間でした。
これからの時代は、マーケットを開発し、新商品を生み出す役割もモノづくりが担うことになります。そのためにはより多くの方がより高レベルの創造性を発揮することが求められます。その意味でも大変に有意義な講習会となりました。蓮沼先生ありがとうございました。
蓮沼孝先生のレゴシリアスプレイの紹介記事
http://hr-conference.jp/201211/interview-C6.html
蓮沼孝先生の連絡先
hasunuma@seriousplay.jp
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2018.03.19
第6回日本カイゼンプロジェクトのご報告 今回はいつもの「世の中の変化と日本の製造業が抱えている問題点」をお休みして題記のご報告をいたします。
先に開催のご連絡をいたしました第6回日本カイゼンプロジェクトは予定通り3月2日16時より東京駅丸の内口、丸の内二丁目ビル6階にある、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営するTIP*Sにて開催されました。
参加者は約40名で経営者、管理者、大学教授、専門家等々、実にバラエティに富んだ方々にご参加いただきました。
最初は私がここ30年間の世の中の動きをビジネス誌の表紙タイトルを使って説明しました。改めて振り返るとこの間、世の中は好景気と不景気、好調と不調を何度も往復しています。バブル崩壊、超円高、リーマンショックなどのどん底とそれに続く好景気とまるで振り子です。不景気はとてもつらいですが、好景気でも受けた仕事をやり切れないという嬉しい悲鳴が上がります。いくら嬉しくても悲鳴ですから幸せな状況ではありません。一番いいのはその超好景気と超不景気のちょうど中間がいいのですが、物理学の法則で振り子はそこを最高スピードで通過します。誰も気づかないうちに一番都合がいいポイントを通り過ぎ、また厳しい方向へと移動します。そして両端の一番苦しいところで方向転換のため一旦停止します。すなわち一番厳しいところに一番長くいるということです。
これからもこのような変化は続きます。私たちはみんなの力でこの変化に素早く対応する必要があります。チャンスの女神様は前髪フサフサだけど後ろ半分は髪が無くてツルツルなのだそうです。近付いてきたときに勇気を出して前髪をつかんで引き寄せることはできても、少しでも後回しにして通り過ぎようとしたときに慌ててつかもうとしても、もうつかむところがないということです。みんなでワイワイガヤガヤをしながらチャンスの女神を引き寄せましょう!
次回は、後半の講演であるレゴブロックを使った実習についてのご報告をいたします。
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2018.03.09
世の中の変化と日本の製造業が抱えている問題点 8 いろいろな変化に対して私たちはどういうスタンスを取るべきなのでしょうか?
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これらを総合するとこれらの変化は一過性のものではなく経営環境が変化した結果だと考えるべきだ。経営者はこの環境の変化を受けて立たなければならない。経営者はこれまで何とかやってきたという成功体験を捨て、すべてを一から見直すつもりで経営改革を実践する必要がある。これまでの経験の延長線上に将来の経営はないことを覚悟することだ。
ではこの方向に向けて、どうやって体質改善を進めていったらよいのだろうか?従来的な改善のやり方に留まることなく、「新たな体質改善のやり方」はあるのだろうか?マスコミの報道を見ると日本に無いもの、できていないモノをあげつらった悲観的な情報があふれているが、その遅れを取り戻す方法は何なのだろうか?という前向きな問いかけが大きな意味をもつことになる。
Question 私たちがこれから始める前向きな改善はとどういうやり方になるのでしょうか?
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2018.03.05
世の中の変化と日本の製造業が抱えている問題点 7 先回はアメリカの話をしましたが、その結果日本はどうなっているのでしょうか?
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アイリスオーヤマの大山健太郎社長は、このような時代ではこれまでのマーケットインのスタンスでは対応しきれず、個別ユーザーが持つ潜在需要を積極的に引き出すユーザーインで対応しないといけないと言っている。お客様の多様な要求やいろいろな条件、そしてそこから生まれる多くの可能性に対して即座に応じる力が重要になってくるということだ。
加えて、ここ最近、AI(人工知能)など情報技術が急速に進歩している。AI以外にIoT、Big Data処理といった新しい多様な情報技術、あるいは3Dプリンターのような新しい製造技術が生まれており、必要があれば即座に対応できる技術力も大切だ。マスカスタマイゼーションの時代、ユーザーインの時代に競争力を高めることを目指して、これらの画期的な情報技術や製造技術の真髄を理解したうえで活用、展開する知恵と技術も求められる時代になっているのである。しかし日本は欧米と比べるとIndustry4,0のような総合的情報技術において大きく後れを取っているといわれている。
Question 報道では日本の製造業は欧米に比べて周回遅れだといわれているようです。皆さんはどう思われますか?