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2016.12.28
現場での雑談は大切です その2 第18話のマンガにはみごとにストレートな雑談が出ています。マンガの結論もそうでしたが、私もあの手の雑談が改善に結び付くことはまずないと思います。
では私が現場で改善をするためにする雑談とはどんなものか? ですが、いくつかポイントがあります。
まず改善対象となるものが見えること。だから私はほとんどの場合現場で実際の改善がされたところにいます。
そしてテーマが共有化されていること。その場で目の前のモノやコトを指さしてますから共有されています。
加えていろいろな人がいること。改善会ですから社長や工場長だけでなく営業や技術など他部門の人もいます。この頃、多様性とかダイバーシティとかいう言葉を時々聞きますが、これですね、いろんな人がいるといいのです。
工場の中のモノ、例えばみんなの目の前で現在生産中のモノは、営業がその注文を取り、調達がその材料を仕入れ、技術が作ったラインで、生産管理が作った計画に従って、製造が生産しています。すなわち全員がそれぞれ別々にですがかかわっているのです。
こういう人たちが一堂に会してその時に行われた改善について話をしたり、もっとリードタイムを短くするにはといってアイデアを出し合ったりすると、一人では絶対に思いつかなすごいいことがドーンと涌き出てくるのです。
これが雑談です。
そして、そのすごいアイデアが出た時や、すごい改善が実現した時に、現場から「こういうことは普段なかなか話ができない」といった意見が出るのです。「普段なかなか…」というとそれでもたまにはあるのかという感じになりますが、まあないでしょう。何か問題が起きた時くらいはそういうメンバーが集まることはあるかもしれませんが、そうではなく、もっと良くするために集まるのです。そしてワイワイガヤガヤの雑談をするのです。
勇気を出して時間を取って雑談をしてみませんか!
今年一年大変お世話になりました。皆様良いお年をお迎えください。
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2016.12.18
軍艦島にも行きました。 先回、世界初とギネス認定されたロボットホテルに行ったことを書きましたが、そのとき同じ長崎県の軍艦島にも行きました。
軍艦島は長崎県長崎市の端島(はしま)の俗称で、外見が軍艦に似ているのでそう呼ばれているのです。
なぜ軍艦の形になったかというと、この島は明治から昭和にかけてここから海底炭鉱に降りて石炭を採掘した基地となっており、ここで働いていた方々のご家族の生活拠点として鉄筋コンクリートアパートや学校などが建てられその形になったのです。島のサイズは480m×160mと極めて小さいのですが、1960年には5000人を超える人が住んでおり、当時の人口密度は83600人/㎢(世界一!)のものすごい住宅密集地であったとのことでした。
1941年には年間41万トンもの良質石炭が採掘され日本の近代化を大いに支えた軍艦島ですが、1960年以降に主要燃料が石炭から石油にシフトするエネルギー革命が起こり、炭鉱の存在意義が薄れ1974年に閉鎖され端島は無人島となったのです。
現在は一部ですが入島が可能となり私も上陸して見たのですが、完全な廃墟です。
1974年という年は私が社会人になった年で自分としてはそんな昔という印象がありません。そしてエネルギー転換という言葉は知っていましたが歴史的な知識としての認識であって、今回のように自分の目でその変化を見たのは初めての体験でした。そしてやはり世の中は変化をし続けているということを改めて理解し実感しました。
石炭から石油へのシフトに終わらず変化は続いています。アナログからデジタルに、ガソリンエンジンから電気モーターに、有人運転から無人運転へ、電子計算機から人工知能へ、など技術的な面だけ見ても世の中は大きく変化しています。
そして先日号外でお伝えしたように社会面でも大きな変化が起きています。
改めて世の中の変化を前提に私たちのモノづくりも大きく変えていく必要があると思いました。
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2016.12.15
ロボットホテルに行ってきました 佐世保に行ったついでにハウステンボスにある“変なホテル”に泊まりました。
英語名は ”Henn-na Hotel” で本当に「変なホテル」という名前のホテルです。なぜ行ったかというと、このホテルは世界で初のロボットスタッフが働くホテルとしてギネスブックに認定されているので前から行ってみたかったのです。
ホテルに入って入口からロビー全体を見渡すと本当に人がいない…。
この写真は私がチェックインしているところですが、前にいる女性はロボットです。よく見ると隣の受付は恐竜のロボットです(後ろ脚が見えてるでしょ)。
受付の女性は(?)「いらっしゃいませ」と私を迎えてくださり、必要な事項を目の前のタッチペンで入力するよう日本語で指示をし、入力し終わったところで部屋のカギに使うカードが発行されました。
この後、必要であれば荷物を部屋まで運んでくれるロボット(?)もいて、人間とは誰ともすれ違わずに部屋まで入りました。
ちょっと緊張しましたが、まずは部屋に入れてホッとしました。
しばらくして落ち着いたところで考えたのですが、ホテルでロボットは初めてだし、人造の人間や恐竜のリアルな表情や動きが珍しいので驚きましたが、私たちの生活にはすでにこのレベルのロボット化は取り入れられていると気づきました。br />
例えば電車の駅で切符を自動販売機で買う時、私たちは自分一人で行先の画面を出してお金やカードを入れて切符を買って電車に乗っています。今回ロビーでやったことはこれとほとんど同じです。自分の名前を入れて切符をもらっていく先の部屋に入ったのですから。
あるいは、園内の”変なレストラン“では、若いころ(?)自動車会社の溶接現場で働いていたというロボットがお好み焼きを焼いていました。溶接作業と比べるとモノは軽いし、要求精度は低いし(それでも時々失敗したり、汗を拭くかっこうをしたりする)、熟練溶接工であった彼(?)からすると何でもない仕事でしょう。
日本全体の人口減少はもちろんですが、それ以上のスピードで労働人口は減ってます。私の指導先でも多くの会社が人手不足で困っています。ロボットの活用はいろいろなところで望まれますが、まったく新しいことではなくすでに身の回りに事例がたくさんあると考えてみると、これまで気づかなかった素晴らしいアイデアが出る気がしてきました。
「変なホテル」のホームページ
http://www.h-n-h.jp/
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2016.12.04
現場での雑談は大切です 私はほぼ毎日、全国のお客様の会社に伺って改善の指導をするのですが、会社にいる時間の半分は現場にいます。
そこで何をしているかというと、社長をはじめ皆さんと一緒に現場を見て問題を発見したり、その場で改善を実行したりが半分。そしてそれと同じくらい時間をかけているのは実際に改善が実行された職場に行って、実行された方とその改善を見ながらいろいろなお話を聞いたり意見を述べたりといった会話をすることです。明確なテーマに基づいた“雑談”です。
その時に私が一番聞きたいのは苦労話です。コンサルタントに対して社長もいるところで自分がやった改善を話すとなるとどうしても成功談になりがちですが、一回でさっと結果が出るほど簡単な改善ではないことは私には分かります。もし自分でやったらどうなるか…などを想像すればすぐ分かることです(私自身が不器用なので、こういうことには鋭いのです)。きっと何回も失敗したり、一人ではできないので誰かに助けを頼んだりといろいろなご苦労があったに違いない!
柿内 この改善、すごいですよね。でも結構ご苦労された感じします。
Aさん 私一人でやったわけではありません。Bさんにも手伝ってもらってます。
柿内 そうなんだ!じゃぁBさんにも来てもらおう。
(Bさん、呼ばれて慌てて来る)
柿内 Bさん、Aさんの改善、手伝ってくれてありがとうございました。これすごいですよね。ちょっと苦労話を聞かせてください。
Bさん 実はこの治具を作る工具が無くて、別の部署に借りたんです。
社長 エーッ、そうなんだ! 必要な工具はすぐ買ってください。そんな大切なことで遠慮しちゃだめだよ。
こんな感じで会話が進みます。そしていろいろな見えないところにある問題点がぞろぞろ出てきて更なる解決に向かいます。”雑談”というと何か不謹慎なイメージがあって“仕事中にしちゃだめでしょ”的な雰囲気を感じる方もおられると思いますが、実は改善においては貴重な手段です。