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2017.04.30
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2017.04.28
現場改善で、工場内の変化のスピードと生産性を上げる KZ法(10) 今回はKZ法と在庫の関係についてお話しします。例えば自動車関連の工場に金属材料の在庫がいっぱいあったとします。かなり錆びているモノもあるので古くからずっと有るんだろうなあ…と思われます。
私はこのような状態を見るとかなり焦ります。理由はこれらの大量の在庫は以前に高いお金を払って買ったモノでしょうが、もしかするとこの先もずーっとここに置きっぱなしになるのではないかと思うからです。私はモノが余っている状態を見ると焦るのです。
しかし現場の方はもうこの景色に慣れてしまっているのか、特に焦った様子が見られません。それより今日の生産に使う材料がちゃんと有るかどうかが気になっているようです。現場の方はモノが無い状態を見ると焦るのです。でも無くても発注すればモノは来るのでそんなに大きな問題にはなりません。しかし有り余っている場合、それはすぐにはどうすることもできません。そして今日買った材料がまた余ってしまうのではないかと心配になります。
もし私が友人に今月返してもらう約束で先月10万円のお金を貸したとします。ところが今月になったのに彼がそのお金を返してくれません。私は彼が本当に返してくれるのかとても心配だし、とても困ります。気になって気になって昨晩はなかなか寝付けませんでした…。これはもちろん作り話ですが、このような気持ちは分かっていただけると思います。
現場の使われない在庫は、実はこの貸した私のお金と同じだと思いませんか? この材料を使っていい商品を作って売って利益を上げようと計画したのですが、いつまでたっても商品になりません。材料を買った時点で支払いを済ませているのですが、そのままでお金が帰って来ないのです。そしてその金額は10万円どころでなく何百万円!
KZ法ではこれらの在庫には、ひと月以内に使われないモノとしてカードが貼られます。そこで今まで慣れた景色に溶け込んでしまっていたこれらの大問題をみんなで顕在化して、現在の問題点とこれからの改善点を議論します。そして管理の仕方と購入の仕方を変えればいろいろないい変化が起きてきます。
「切れるより余る方が怖い!」これが私の実感です。
場所が空いてスカッとして、無駄な買いが減るのでキャッシュが貯まり始めます。これは経営に大きく貢献するのです。
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2017.04.23
現場改善で「仕事の流れ」が変化するスピードを上げる KZ法(9) 4月2日の32号で私はこう書きました。
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これからたくさんのお客様を獲得し、たくさんの商品を作るのです。そのためにまず必要なのは場所です。
これがなければ将来構想は絵に描いた餅です。目の前にある使わない要らないモノをもったいないと言って、
将来の可能性をつぶしていいとは思いません。将来の可能性をあきらめることの方がずっともったいないと私は考えます。
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読んでくださった方から、このことについてもう少し具体的に話してほしいとのご連絡をいただきました。今回はそのお答えです。
下に示した図をご覧ください。これはKZ法を実行したたくさんの会社での実績をまとめたものです。左側の四角のわくの中が最初にKZ法を実行した時のことで、みんなでワイワイガヤガヤと議論するところから活動が始まります。右側の四角のわくの中は結果の経営成果です。そしてその二つのわくに挟まれている小さな矢印で結ばれた四角が実行した改善なのですが、一番たくさん矢印が出ている改善成果(真ん中の上にある赤く塗ってある四角)が「まとまった空きスペースの拡大」でした。すなわち場所を生み出すことはその先の改善へのポテンシャルとなり更なる成果を生んだのです。
これは私にとってもとても意外な結果であったのですが事実です。
これからの厳しい変化の時代に生き残り勝ち進むためには、よりお客様に近付いてニーズに合ったモノづくりをすることが求められます。お客様も品種も増えていくことでしょう。それに対応するためにはまず場所が必要です。しかし多くの工場が既にモノで溢れていて新しい仕事などとても無理無理といった状態です。しかし銀行からお金を借りて新たに土地を買うというリスクも犯せないし、ということで将来を諦めていたらもったいない!それがKZ法で場所を生み出すことの大切さなのです。32号の写真をもう一回見てください。KZ法は完全にノーリスクです!!
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2017.04.12
改善をすることで、工場内だけでなく全社で変化のスピードを上げる方法 KZ法(8) 「捨てましょう!」の続きです。
将来の可能性を考えて場所を手に入れることが優先なので、使わないモノは捨てるのです。しかし今日買ったり、今日作ったりしたものがその後にまた捨てることになってはたまりません。
そこでそこにいるみんなで捨てることになるモノを見ながら議論をします。
「これは一体、何なのか?」
「ナゼ使えなくなったのか?」
「みんなで考えて改善しよう!」
不良品が多いけれど、これは設計を変える必要があるね、設計のA君と、生産技術のB君と製造のCさんが一緒になって変えてくれないか。
部品の在庫が多いけれど、これは購入ロットサイズの見直しが必要だね。調達のDさんと生産管理のEさんが一緒になって来月からロットサイズと発注タイミングを変えてみて下さい。
KZ法の現場にはすべての部門の人が来ていますから、現物を前にしてドンドン改善の輪が広がるのです。
設計変更もロットサイズの変更も一部門だけでは簡単にはできないことですが、一緒になってやればできるのです。
そしてすべてを一気にやるのではなく、目の前にあるモノを変えるのですからそれなら絶対にできます。
たったそっれっぽっちやっても意味ないのではないですか!?! という声も聞こえますが、まずは一つでいいから具体的にみんなで一緒に実行してみて下さい。なるほどこういう改善のアプローチが全体最適につながるのか!と分かります。
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2017.04.07
第7回 工場生産『管理者』育成学校のお知らせ 日本経営合理化協会・経営研究所主催で第7回 工場生産『管理者』育成学校を開きます。
本校で得られる実務ノウハウは
1.管理者として知っておかなければならない「モノづくり」の技術
2.原価上昇、品質・納期トラブル解消のための生産者管理技術
3.生産効率を格段に上げる4M(作業者・設備・材料・製造方法)手法
4.標準規格品・汎用品の繰返精算となる「量産」と、個別品や特注品などの「個別受注生産」との両方に対応する方法
など中小企業の多岐に渡る工場管理者としての実務を身につけることが出来ます。6/15日よりスタートとなります。
皆様どうぞご受講ください。オンラインではこちらから申込が可能です
http://jmcasemi.jp/seminar/seminar.php?CONTENT_ID=1167 -
2017.04.02
変化のスピードを上げる KZ法(7) 本当に捨てていいの?? で先回は終わりましたね。ではその続きのお話を始めます。
私の答えは「捨てましょう!」です。
「でもせっかくあるのに捨てたらもったいないじゃないですか…。」と思う方はとても多いです。しかし考えてください。KZ法で実現したいのは、現在の大きな変化の時代に「生き残り勝ち進む力」を付けることなのです。これからたくさんのお客様を獲得したくさんの商品を作るのです。そのためにまず必要なのは場所です。これがなければ将来構想は絵に描いた餅です。
目の前にある使わない要らないモノをもったいないと言って、将来の可能性をつぶしていいとは思いません。将来の可能性をあきらめることの方がずっともったいないと私は考えます。この続きは次回に。
写真1.カードを貼る前
写真2.使わないモノをどけた後