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2017.09.28
これからの変化の時代に向けてのカイゼン[11] 今回は『儲かるメーカー 改善の急所101項』【急所43】の解説です。
【急所43】 作業を教えるな、仕事を教えよ。
現在、日本中で人不足、手不足です。募集をかけてもほとんど応募がない…との嘆きの声をよく聞きます。
そしてようやく応募があって採用したのだけれど、あっという間に辞められてしまった。というその次の嘆きも多いのです。
もし来てくれたら辞めないでほしいし、もし辞めないでいてくれたら早く育ってほしいものです。
このために必要なことが今回のタイトルにある『作業を教えるな、仕事を教えよ』だと思います。
仕事を教えるということは、例えば安全や品質についての基本的な知識や注意はもちろん、これから作るモノは何で、どういうお客様がどのような使い方をするかまでをしっかり理解してもらうことです。そしてそれを作るための設備の役割や点検のし方、使う道具や組み付ける部品の意味も教えてあげて、最後に作業を通じて何を考えて行動するべきかを教えます。
すなわちこれから起きることに対して自ら考えて行動できる高い技能を持った人に育ってもらうための仕事の教育です。これによって教わった人にも目指すべきレベルが分かり努力をして成長する喜びが得られます。
多くの職場ではOJTと称して手順や動作といった作業しか教えていないことも多いのですが、それでは本人のモチベーションは上がりません。また応用がきかないので間違いが続き当人も会社も成長できません。
しっかり仕事を教える準備して、立派な仲間を育てましょう。
『儲かるメーカー 改善の急所101項』
https://goo.gl/2XfcQZ
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2017.09.22
これからの変化の時代に向けてのカイゼン[10] 今回は『儲かるメーカー 改善の急所101項』【急所45】の解説です。
小さな仕事はパソコンで、大きな仕事は模造紙で。
先日、大阪府工業協会主催の「経営幹部・工場長のための工場経営研究会」の中の特別合宿が開かれ、講師として参加しました。
いつもは講師がレクチャーをして、約30名の参加者の方々はメモを取りながら聞いているという普通のセミナーなのですが、合宿は違います。
講師が1時間くらいレクチャーをしてその内容について5つの班に分かれた参加者の方々がそれぞれディスカッションして、その結果を発表ということを繰り返します。
ここでは皆さんが模造紙を囲んでワイワイガヤガヤとおしゃべりをしながら班の考えをまとめていくのですが、もしパソコンを使っての発表だと、誰かがキーボードに向かって書いていて、他の人はできるのを待っているといった感じになるので、ここまでは議論が盛り上がらないだろうなあと思います。
今回の議論テーマの一つに「若い人が会社をすぐに辞めてしまう」がありました。最初は「今の若い人たちはこらえ性がない」といった批判的な目で見た議論から始まったのですが、それが徐々に「自分たちのころはOJT中心で体系的にしっかりとした教育を受けなかったので若い彼らにも同様な接し方をしているが、改めてしっかりと教育体系を作って教えていくべきだ」という結論へと変わっていきました。
ネットにそう書いてあったではなく、猛烈な議論を経てたどり着いた結果ですので、合宿から帰った皆さんはきっと何かを始めてくださっていることでしょう。
パソコンは正確性とか連携性は高いのでデータの集計や連絡には欠かせません。しかし多くの人が連携して一つのモノを作っていくときには一覧性がないので今回のような議論はできません。模造紙を使ったワイワイガヤガヤの議論は大きな仕事にはとても有効です。
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2017.09.14
これからの変化の時代に向けてのカイゼン[9] 今回は『儲かるメーカー 改善の急所101項』【急所12】の解説です。
無駄には七種類あるが、最も注意すべきは造りすぎるムダである。
現在、多くの工場が大忙しです。人も時間も足りません。そこで先回は「人手不足」を取り上げましたが、今回は「造りすぎるムダ」についてお話しします。
先日伺ったK社も大忙しで残業がとても多くて困っておられました。次の土曜日は休日出勤する計画とのことでした。
早速現場に行ってみると、第一工程の圧造プレスでは生産ロットサイズが必要以上に大きいのです。「これは『つくりすぎのムダ』ではないでしょうか?」と聞くと、リーダーのAさんから「そうかもしれないけど、忙しいので段取り替えをする時間がない!」との答えが返ってきました。
しかしこの判断は間違いです。段取り回数が減って能率が上がっていいように思えるけれど、その結果、ひとつの製品を作る時間が長くなり今ほしいものが今作れないという状態になっています。モノが多いので運搬も増え後工程も同様の忙しさです。これは悪循環です。
段取り替えもやる人がいないということで事前準備(外段取り)もできていません。ちょっとバタバタです。
そこでみんなに集まってもらって、「ウソだと思うかもしれないけれど、ロットサイズを小さくしてみよう。そして時間を調整して外段取りをしっかりやってテキパキ段取り替えしよう」と提案し実行しました。
するとモノが停滞しないで流れ始めてみんなの思いとは逆に生産性が上がり残業が減り始めました。
忙しいので取った対策が実は作りすぎのムダで却って事態を悪化させているということはよくあります。チェックをお願いします。
ちなみにトヨタ生産方式の中にある「7つのムダ」の一番目は「つくり過ぎのムダ」です。このムダは本当に奥が深く、会社経営に直接に影響します。私自身もその深さと大きさをすべて理解できていないと思います。というのもコンサルタントになって26年経った今でも新しい発見を続けているからです。
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2017.09.05
これからの変化の時代に向けてのカイゼン[8] 今回は『儲かるメーカー 改善の急所101項』【急所41】の解説です。
人手不足と言うな。人不足と手不足に分けて考えよ。
私はほとんど毎日、日本中のどこかの工場で改善活動をしています。
そこで気付くのですが、最近はほぼ例外なくどの会社も忙しくなっていて、仕事をこなしきるために残業をする工場が増えています。このままもっと忙しくなるとブラック企業になってしまう、大変だ!という切羽詰まった状況の会社も少なくありません。
しかし日本は少子高齢化が進んでいますから、総人口はもちろんですが労働人口はもっとすごいスピードで減っています。ですから忙しいのでどこかから応援に来てもらうといったことがほぼ無理…な状況です。
ではもっと忙しくなってしまいそうな場合どうするかですが、まず最初の選択肢は二つです。『注文を断る』か、それとも『更なる注文を受ける』のどっちか。
やはり注文は受けたいですよね。受けるとすると次の選択肢はやはり二つです。『ブラック企業になる』か、それとも『改善をしてホワイトになる』かです。
もちろんブラック企業になるという選択肢はありません。ですから改善をしてより多くの注文を楽々こなせるようになる方を選びましょう。
じゃロボットの導入ですか? と思われるかもしれませんが、まずその前にやるべきことがたくさんあります。今回は『人手不足というな。人不足と手不足に分けて考えよ』というテーマです。
人不足:技術者や技能者にしか出来ない仕事があり、それを出来る人が不足している。
手不足:アシスタントがいれば出来るレベルの仕事だが、そのアシスタントが不足している。
人不足は急にトレーニングをしても間に合いません。しかし、人不足だと思っていた仕事 が、よくよく考えると手不足だったというケースが多々見られます。 その場合には、手の空いた人間がサポートに入ることにより、問題は解決できます。
この見方で仕事が間に合うようになるケースは多いのです。ご参考になさってください。
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2017.09.01
これからの変化の時代に向けてのカイゼン[7] 今回は『儲かるメーカー 改善の急所101項』【急所95】の解説です。
【急所95】工場を、モノづくりを見せるショールームとして活かせ。
これからは営業が注文を取ってきて、それを製造が作るといった分業の時代ではありません。競争が激しい昨今、もし営業が受注で苦しんでいたらそれを製造がサポートする必要があります。
私はこの営業サポートの改善をするとき、今回のタイトルであるショールーム化をしばしば取り上げます。
ショールームというと工場で作っている製品をショーケースに入れて展示するといったイメージが湧くかもしれませんが、それとは少し違います。
皆さんの工場が持っておられる技術力や管理力をお客様に一目でお伝えするショールームです。どこかの場所にショールームを作るのではなく、工場全体がショールームになるのです。
その前提にはもちろん整理・整頓・清掃の3Sがあります。お客様が工場に入った時にまずは散らかっていなくてスキっとしていることは前提です。
その上で、工程表示がされていて生産の流れがスムーズで、納期が守れることが一目で分かること。検査の場所に検査に必要な検査機や冶具が分かり易く置いてあって、その通りに作業がされていて、品質のいいことが一目で分かること。従業員が明るく挨拶をしてくれて信頼できる人たちが作業をしていると分かること。などなど…。
すなわちモノづくりにかかわるすべての要素が見れば分かるということです。質問する必要がないくらい見えるようにすることです。
一度、お客様の立場に立って皆さんの工場を見てください。お客様が皆さんの工場のすばらしさに感激して、何としてもこの工場で私たちの商品を作ってもらいたいと思っていただけるレベルのアピールがあるかどうかです。