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2017.03.26
変化のスピードを上げる KZ法(6) 実際に作業をしてみると、カードを貼る作業は正確性などをあまり考えなくていいので簡単にできるのですが、この分類は少し苦労します。それは「不要品」か「不急品」かの区別がつかないことが多いからです。
そこで私は乱暴と思われるかもしれませんが、どちらか分からなかったら厳しい方、すなわち「不要品」に置いて下さいとお願いします。
「不要品」に置いたからといって自動的に捨てたりしませんから、どうぞ安心して置いて下さい。考えない!聞かない!調べない!テキパキ作業を進めて下さいとお願いします。
そこでみんなはドンドン運びます。分からなければ不要品ですから、「不要品」、「不急品」、「必要品」の3分類では「不要品」が圧倒的に多くなります。
そしてカードが貼られたモノで置き場がいっぱいになったところで皆さんに集まってもらいます。
「皆さん、すごい仕事をされましたね!これだけのモノを運んだのにまだ30分くらいしか経っていません。400枚貼ったので、要らないものやすぐ使わないものや問題があるモノが約400個移動したのです。ですから元の職場は結構ガラガラですよ。ちょっと見てきてください。」とお願いします。改めて見るとかなりスカッとしています。でもどいたのは今使わないものですから、これで生産はできるのです。今必要なモノって実は少ないのです。必要な場所も実はずいぶんとコンパクトなのです。
まずそれをご自分の目で確認してもらったところで、不要品のカタマリのところに集まってもらいます。
そこで私は問題発言をしますよ。「さっきは、ここに置いたからといって黙って捨てることはしないと言いましたが、前言撤回、全部捨てます!」
すると何人かの方がカンカンになって「柿内、ふざけるなよ、これ捨てられたら仕事にならないだろ!」と怒るので、「ごめんなさい、それは間違って貼られました。どうぞ戻してください」と言うのですが、それ以外のほとんどのモノは誰も何にも言いません。
すなわち全員が「私はそれを全く使ったことがないので要らないのですが、多分、他の人が使うと思う…。」と思っていたということです。実は誰も要らないのに…。
これらは全部捨ててしまいます。本当にすっきりします。
本当に捨てていいの?? それは次回にご説明いたします。
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2017.03.16
変化のスピードを上げる KZ法(5) 先回で400枚のカードが貼り終わりました。
3時間で終わるというKZ法ですから、多くの人はこのカードが貼られた様子をカメラで撮って後で分析するんだろうと思うのですが、全く違います。これらのカードが貼られたモノをすべてラインの外に運搬します。
えっ、3時間後に仕事を始めるんだったらまた全部元に戻すんでしょ! だったら運ぶだけムダではないですか?と聞かれます。
しかしカードを貼っただけでは分からないことが移動するとたくさん見えてくるのです。ですからみんなで運び出します。
移動する場所ですが、現場の近くの広い場所に「不要品」、「不急品」、「必要品」の3つの場所を用意して、その3か所に分類して置きます。
「不要品」は基本的には仕事で使わないゴミのようなモノです。錆びていたり壊れているモノや、型が古くてもう使えない部品とか…いろいろあると思います。
「不急品」はひと月以内には使わないけれど、それ以降には使うというものです。金型などに多いですね。あるいはロットサイズが大きいのでひと月以内に使い終わらないようなモノもここに分類です。
「必要品」とは、要るものであるのに何か問題があって貼られたということでしょう。こういう置き方だと検査前か検査済かが分からないとか、あるいはこんなに大きな入れ物だと重くて危険とかです。
実際に作業をしてみると、カードを貼る作業は正確性などをあまり考えなくていいので簡単にできるのですが、この分類は少し苦労します。それは「不要品」か「不急品」かの区別がつかないことが多いからです。
迷ったときにその答えをそこの現場の人に求めると、返ってくる答えは決まっています。
「私はそれを全く使ったことがないので要らないのですが、多分、他の人が使うと思うので後で調べますから、不急品に分類しておいてください…。」というものです。
これをどうするか…は次回にご説明いたします。
写真 外に運び出されたモノ
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2017.03.10
工場長研修を開きます 大阪府工業協会の主催する工場長・製造部長の方を対象としたセミナー「あなたの工場に効く改善 工場長研修 ~実行すべき20原則~」を開きます。
興味のある方は下記URLよりご応募ください。
https://www.opmia.or.jp/seminar/
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2017.03.09
変化のスピードを上げる KZ法(4) 先回のKZ法では、笑顔でおしゃべりしながら貼るというところで終わりました。
笑顔でおしゃべりは楽しいのですが、一つだけプレッシャーをかけます。それはすべてはりきってもらうことです。
“張り切っていきましょう!” の「はりきる」ではなく、“20枚のすべてを一枚残らず貼りきる” のはりきるです。
「厳しい時代ですから、皆さんなるべくたくさんのカードを貼ってくださいね」と言ってしまうと半分くらいしか貼れません。「一枚残らずすべて貼れ!貼り残したら今日は家に帰さない!!」こう言うことによって、参加者全員が隅から隅まで目を皿のようにして現場を見るのです。
ただ「正確に間違いなく」貼ろうとするとそれは難しいです。何でもありの緩いルールですから「一カ月以内と思って貼ったたけど27日目に使われたらどうしよう…」などと心配する必要は全くありません。アバウトに貼ります。だから絶対20枚すべてが貼れるのです。
もし先に貼り終わった方はまだ貼り終えていない人を手伝ってあげてもかまいません。
この活動は正確性とか論理性を前提としません。少しくらい間違っても全く問題ありませんし、むしろそういったアバウトな勢いがあった方がその後でいい結果が出るようですのでビクビクしないでバンバン進めます。ですから、もし誰かが間違った理由でカードを貼ってしまっても、そのカードははがさずそのまま残します。間違いであったとしてもその後のセッションで素晴らしい発見に結び付くことが多いからです。
これは口を使わない手足を使う “ブレーンストーミング” なのです。
写真 カードだらけになった職場
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2017.03.01
変化のスピードを上げる KZ法(3) 先回のKZ法ではいろいろな部署からいろいろな人に参加してもらうというところまでお話ししました。
どこに集まるか…ですが、すべての読者の方に共通な場所である方が分かり易いので、例えば倉庫でやってみましょうか。そして参加者は20人としてみましょう。
来て頂いた方には一人20枚くらいのカードとセロテープを渡します。カードといいましたが、A4の用紙を8等分したくらいの名刺のような紙です。コピーの裏紙をカットしたモノでいいですよ。この場合は20人の参加者なので合計で400枚のカードです。
もし倉庫がとても大きい倉庫だったら全部を対象にすると広すぎて大変です。一望できる範囲くらいを指定してください。
そしてその範囲の中でそれぞれの人がひと月以内に使わないモノ、あるいはご自分で考えて問題があるモノを見つけてカードを貼ります。
例えば別の部門からの参加者は「私はこの現場で働いていないからそんなの分からないです…」と思いますよね。でも実際に現場に行くと、段ボール箱が汚れて潰れていて「絶対使っていない」と分かるとか、見えない裏の方に置いてあって「誰もこれの存在に気付かない」みたいなものは結構あるんです。あるいは箱がきっちりフタされていて中が全く見えないモノは「問題だ!」、あるいは箱が傾いて積んであって「危ない!」と判断されたらそれらのすべてがカード貼りの対象です。
もし一つの箱に部品が20個入っていて、ひと月以内に10個使う場合は、残りの10個は今月使わない部品なのでカードを貼ります。ただ部品10個の一つひとつに貼るのではなくその箱にカードを1枚貼ります。部品に貼るとはがすのが大変だからです。
そして貼る時に大切なこと、それは怖い顔して黙ーって貼るではなくて、笑顔でおしゃべりしながら貼るということです。